坐禅普及

主旨は慈悲。行は坐禅。

2019-10-01から1ヶ月間の記事一覧

瓦を磨く

「私が実践しているのは、母の頭の中の妄想や景色に付き合う方法で、意外と楽だし面白いんです。たとえば、母はいつの間にか、夢と現実とが混ざっているような状態になって、「さあ、寝ますよ」というと「ちょっと待って、赤ん坊をどうするの」といってきま…

【参考資料】生きて死ぬだけ

(1)神保如天『従容録講話』序「私どもは何の為に生れたか、何故死ぬるか、這んなことは問題にならぬ。何の為でも、何故でもない生まれたから生きてをる。死ぬから死ぬるのである、それ以上何と理屈をつけても詮無いことである。生を生とさとり、死を死と…

よい仕事をし、よい家庭を築く

「われわれがこの苦の世界に生まれ生きているのは、愛するためであり、働くためであって、苦から逃れるためではない。われわれにとっては、日々の愛や悲しみや労働の生活以外に、釈尊の悟ったさとりを現成せしめる道はないのである。」 (松本史朗『仏教への…

「病んでいる」という病

「「一念不生全体現、」(略)以下四句、禅修行の心得であります。(略)一念と云うは、可愛い―――憎い―――ほしい―――おしい―――と云う、それであります。かかる念慮は何人にも胸中に生じます。(略)種々様々の念慮の生ずるのが、心の本質であります。一応字面…

一指頭受用不盡

「真なるが故に新なり。太陽は朝々東より出で、夜々西に没し、往古来今同じ事を繰返して居って、いつも清新であって陳腐ではありません。天龍和尚より伝えられたる一指頭の禅、俱胝に至って一生受用して盡きず、いつも清新であって陳腐を見なかったのは、此…

健全な「悟り」

「悟り」とは、上座仏教であれば、貪瞋痴を断滅することであり、大乗仏教であれば、自他不二を体認することです。 いずれも、趣旨は分かります。 けれども、いずれも、過度の瞑想等による血中酸素濃度の低下等によって引き起こされた変性意識下での異常体験…

行は助けにすぎない

「看経(かんきん)、礼仏、布施、作福などの事は、ただ助道の跡にすぎないので、道は必ずしも此処に在るのではない。 深山窮谷に隠れて草衣木食するようなのは、幽人高尚の志の現われで道とは関係なしと言っても可い。 余は林下に淪棄(りんき・注)して世…

正受の仕方

臨済禅における公案にはいくつかの種類があり、それぞれの狙いがありますが、公案を用いての独参の最も重要な狙いは、正受する力を養うことにあると考えています。 法理などを何らかの形で、知る、感じる、体認するという狙いもありますが、法理等は言葉によ…

共在性

「私はよく中年女性の会話に耳を傾けます。こんなに会話を楽しむ人たちもいないからです。「久しぶり」などと、互いの近況などをまず話します。 この辺まではかみ合っているのですが、徐々に合わなくなります。互いが互いの話したいことをしゃべるからです。…

浄土門から見た禅修行の目的地(第2版)

「念仏は、まことに浄土(じようど)にうまるるたねにてやはんべるらん、また、地獄(じごく)におつべき業(ごう)にてやはんべるらん。総(そう)じてもって存知せざるなり。たとい、法然聖人(ほうねんしようにん)にすかされまいらせて、念仏して地獄(じごく)にお…

緩やかな「空」の捉え方

仏教に出てくる「空」の概念については、いくつかの捉え方があり、一番流布しているものは、中観派の空観でしょう。 「〈空〉というものは無や断滅ではなくて、肯定と否定、有と無、常住と断滅というような二つのものの対立を離れたものである。したがって空…

随時更新『問答メモ』(追加問16~25)

(追加部分) 問16 佛道(仏教)を学ぶ価値はどこにあるのか。 答16 生きていく上でのアイディアを得る。 しかし、とらわれない。 わからなければ無視をする。 佛道を学ぶ前から生きており、生きる上では、佛教は不要。 慈悲を勧める教えだと考えて仏教…

利他とは自利である

慈悲とは、自分の生命を自分以外のために使うことです。 昔から、ほかの人の役に立つことに興味があって、中高生の頃は、ボランティア活動の団体に入ったり、仕事も公益の実現に寄与できるものを選び、今でも、余暇には、傾聴のボランティアに行ったり、献血…

仏道とAI/受動と作用

AIが発達し、次第に、人間がやるものとされていた「労働」をAIが代わって処理するようになってきていることに伴って、そのうち、AIが人間にとって代わるのではないかとの危機感の下、AIにはできない人間しかできないことを探すことなどといった人間像の見直…

【参考資料】受け入れ、向き会う

(1)有馬賴底『『臨済録』を読む』20~24頁「『臨済録』から『無門関』『碧巌録』そして『大燈百二十則』――全部暗記させられました。覚えていないと火箸で叩かれました。ところが これが役に立たない。二十二歳の時、上洛し相国寺に入ります。大津櫪堂…

所有(蓄積)ではなく作用(放出)

「企業は、社会と経済のなかに存在する被創造物である。社会や経済は、いかなる企業をも一夜にして消滅させる力を持つ。企業は、社会や経済の許しがあって存在しているのであり、社会と経済が、その企業が有用かつ生産的な仕事をしていると見なすかぎりにお…

仏道修行と潔癖主義の病

「私たちが大事にしている修行をあまり理想主義的なものにしてはいけません。」(鈴木俊隆『禅マインド ビギナーズ・マインド』106頁) テーラワーダの実践をしている人たちとの交流会に参加しました。 若手の方で大学卒業後、ニート期間が長く、最近、就…

【参考資料】不立文字のプラクティカルな根拠

1 P.F.ドラッカー(上村惇夫訳)『【エッセンシャル版】マネジメント 基礎と原則』「われわれは期待しているものだけを知覚する。期待しているものを見、期待しているものを聞く、コミュニケーションに関する文献の多くは、期待していないものは反発を受…