坐禅普及

主旨は慈悲。行は坐禅。

2020-07-01から1ヶ月間の記事一覧

「調心」その問題性(1)――坐禅の生理学的効果(6)

坐禅の構成要素は、「調息」、「調身」、「調心」といわれますが、「坐禅の生理学的効果」の記事では、(1)から(4)までで「調息」を、(5)で「調身」を取り挙げました。 (6)から「調心」を取り挙げようと思います。 これまでの記事○「扁桃体の活動…

姿勢を正すことによるテストステロンの分泌等――坐禅の生理学的効果(5)

坐禅の生理学的効果に関し、これまでは、いわゆる「調息」の問題について、次のようなテーマで触れてきました。「扁桃体の活動の低下――坐禅の生理学的効果(1)」 https://zazenfukyu.hatenablog.com/entry/2020/07/12/200328?_ga=2.85793821.589133550.159…

【参考資料】「苦」ですけれど、何か?

「すべてが無常であることに、疑いはない――だからといって、思い煩うことがあるだろうか?」(リチャード・ゴンブリッチ(浅野孝雄訳)『ブッダが考えたこと』390頁) 四連休に、積ん読状態だったリチャード・ゴンブリッチの『ブッダの考えたこと』を読了…

呼吸回数の減少によるその他の効果――坐禅の生理学的効果(4)

坐禅の生理学的な効果として、既に呼吸回数の減少による「扁桃体活動の低下」について触れました。 ○扁桃体の活動の低下――坐禅の生理学的効果(1) - 坐禅普及 ○扁桃体の活動の低下による弊害――坐禅の生理学的効果(2) - 坐禅普及 本稿では、坐禅の際の呼…

応病与薬の方便(2)

2 現実的効果の重視 仏教を病に対する薬であると捉えると、病を現実的に治癒することができるかどうかが仏教の教義やその実践において重要な視点ということになります。仏教は、その歴史の中で多様に変容してきましたが、原始的な段階においても、このよう…

応病与薬の方便(1)

私は、次の言葉が仏教の教義とその実践の本質を、よく言い表したものだと思っています。 「『浄土宗』と申しますと、ややもすると、死後のことばかり言う、死後往生、死後往生という、そんなことを言って何になるのだというおしかりを受けることがありますが…

扁桃体の活動の低下による弊害――坐禅の生理学的効果(2)

前回の記事で取り上げたとおり、坐禅によるプラス面の生理学的効果の主要なものは、扁桃体の過剰な活動を低下させ、うつ傾向や不安傾向を解消することにあるものと思われます。しかし、扁桃体の活動の低下には次に述べるとおり弊害もあり、扁桃体の活動を低…

扁桃体の活動の低下――坐禅の生理学的効果(1)

1 扁桃体とは? 坐禅のときのようにゆっくりとした呼吸をすると、血中二酸化炭素濃度が上昇し、セロトニンが分泌され、その結果、うつや不安感が解消、軽減することが判明しているとされています。 これが坐禅の効果のうち、有益な効果の主要なものではない…

雑念あってよし(第2版)

◯雑念がでてきて困る座禅会に参加すると、座禅のときに、「雑念がなかなか収まらなくて、困る」という人がよくいます。座禅は雑念や煩悩を絶つものだ、と思っていることから、「雑念が出て来るのは困ることだ」と思ってしまうのかな、と思います。しかし、仏…

【マニア向け参考資料】圜悟克勤と大慧宗杲の「悟り」

「現在の日本の臨済禅は主として白隠禅である」 (鎌田茂雄「禅思想の形成と展開」『禅研究所紀要第2号』72頁) とされます。 かつては、他の流派もあったようですが、それらはほぼ途絶えてしまったようです。 「白隠下が台頭するにいたると、衰退しはじ…