理系の人が仏道に興味を持つ要因?
座禅会やテーラワーダの瞑想会に行くと、相当程度、理系の大学の卒業者や理系の仕事をしている人がいます。
特に、20代から30代の人だと、IT関係の人がよくいます。
アップル社のビル・ゲイツのように、米国のIT企業の関係者の中に、マインドフルネスへの興味を持っている人が少なくないことにも由来するのかなとも思うのですが、オウム真理教事件の際に、理系出身の幹部が相当いて、毒ガス等を製造していた実態があり、宗教とは距離感があるように思われる理系出身者が何で仏教などに興味を持ったのかがマスコミ等で疑問とされたことからすると、マインドフルネスが一般に話題になる前から、理系の人が仏道の実践に興味をもつ傾向があったのではないかと思います。
最近、理系の人が仏道の実践に興味を持つ要因の一つは、理系の人には、自閉症的な傾向があり、コミュニケーション能力に難があることから、対人関係のストレスを抱きやすくなる人が多く、これを解消する手段として、仏道の実践に興味をもつ人が多いからではないかということを考えています。
「一般大学生の専攻やパーソナリティとAQとの関連をみた研究だ。英国のそれは、AQが高いと神経症傾向が強く、外向性と同調性が低かった。男子は女子よりも、また、物理や化学専攻の学生はそうでない学生よりもAQが高かった。興味深いことに、親が科学に関する仕事をしている学生は、そうでない学生よりもAQが高かった。日本では高知大学が一般学生にAQを実験したところ、文系学部よりも理系学部の学生のAQが高かった。」
(大井学「自閉症という謎に迫る 自閉症をめぐる五つの謎」金沢大学子どものこころの発達研究センター監修『自閉症という謎に迫る 研究最前線報告』22頁)
「自閉症発現の急増は冷戦崩壊による資本のグローバル化にともなって生じた歴史的現象の可能性がある。経済活動のグローバル化が生み出す過剰な社会的ストレスが、母体もしくは養育初期の母親に影響を与える。それが、社交が苦手で論理優勢型の素質をもつ子どもの脳のあり方を変えてしまっている(例えば脳のあり方を変えてしまっている(例えば脳内オキシントシン放出の低下)。母親のストレスから子どもの不安感や恐怖感を土台とする自閉症状が発現し、論理優勢型で非社会的な素質をカバーする余裕がない学校や職場における不利が生じ、適応が低下し症状が強化される、という経路もありうる。)」
(前掲書45頁)
自閉症的な傾向のある人は、対人コミュニケーションを自然体で行うことが出来ないので、論理的な思考力を使って、他者と接したときに、どのように対応するのがよいのかを意識的に学習しなければならない。
そのために、論理的な思考力が発達し、理系学部に進学する傾向が生じる。
同時に、対人コミュニケーションに難があることから、対人関係でのトラブルが生じやすく、対人関係でのストレスが生じやすくなる。
そこで、仏道の実践に興味を持つようになる……。
風が吹けば桶屋が儲かる的な話ですが、最近、そんなことを考えています。
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