坐禅普及

主旨は慈悲。行は坐禅。

【参考資料】仏教者の戦争責任

参考資料「仏教者の戦争責任」

A 「日本の仏教徒は、戦争中ほとんどが戦争に反対できず、逆に戦争に協力してきた。本師山田無文老師は、深くそのことを反省懺悔されていた。『師匠の関精拙老師の尻にくっついて、『兵隊さん、お国のために死んでください。』と、大陸まで出かけて行ったのは、間違っていた。仏教の僧侶が鉄砲取って戦争に加担したりしたのは、日本の仏教とだけだ。もう二度とあんなことをしてはならない』と。」(秋月龍珉『誤解された仏教』52~53頁)

B 「【敗戦後に出版された書籍の】序文の中で【鈴木】大拙先生はつぎのようにいう。『武人禅』は軍閥や官僚の人々がただ図に乗って専横是れ事うするのを見て、自分は心中甚だ平ならざるものがあつた。これでは『聖戦』も何もない、ただ敗北の一途を走るものと思つた。」(鎌田茂雄『禅とはなにか』30頁)

C 「市川白弦は、仏教者の戦争責任をいくつかのレベルで追究し反省している。

 まず、自己自身の戦前、戦中、敗戦時における行動と思想に対する反省である。次に、他の個々の仏教者について、戦前・戦中の言動および戦後の言動を取り上げた批判である。さらに、日本大乗仏教の発想法と論理そのものに、体制を擁護し現状肯定へと促し、結果的に戦争を是認してゆく機能が含まれていることを批判する。それらの機能が天皇制と日本人の内なる天皇制的エートスと深く結びついており、仏教は、第一に日本民族皇民化のための教学の役割を果たし、第二に台湾、朝鮮の人々に対する皇民化の運動に協力するという形で、「皇道宣布のための滅私奉公の十字軍」として働いたと考える。そして、仏教の差別即平等の論理は、戦後なお、日本政府の在日朝鮮人への同化教育政策への仏教徒の支持のなかに作用していると指弾した。」(氣多雅子「日本仏教者の平和思想」(http://www.hmn.bun.kyoto-u.ac.jp/tolerance/tolerance_symposium2003.html

D 「明治政府は【略】、僧侶にも他の平民と同様の徴兵義務を課した。徴兵制度が実施され、僧侶であっても兵士として前線で敵兵を殺害しなくてはならない事態が生じた。【略】

 ところが仏教教団は明治政府による反仏教的政策に怯え、政府の政策遂行に協力することで、教団の維持を図っていた。それゆえ不殺生戒を強調して、教団所属の僧侶兵士に兵役拒否することを指導するなどということはせず、むしろ積極的に政府の戦争政策に支持を与えた。戦争においては多くの仏教教団は軍資献納や慰問品寄贈などの物質的支援の他に、教団の訓示として、義戦であることを強調し、真俗二諦論、王法為本などの教義を根拠にして、軍務の遂行が仏教徒の義務であることを強調した。不殺生戒は国のために敵を殺すことを制止していないという見解を示し、戦死者は宗教的義務を果たした者として往生を認められた。【略】敵国死者の追悼が怨親平等という仏教的理念の発揚として行われたが、戦争自体を非難することは無かった。」(宮川幸一「日本仏教と平和主義の諸問題(2)」http://hw001.spaaqs.ne.jp/miya33x/paper7-2.html

E 「この時代に実践を中心に活躍した人としては、臨済州では山本玄峰(1866-1961)などがあった。山本は、過酷な生い立ちのため、ほとんど文盲に近かったが、その人格によって大きな感化を示し、あらゆる思想傾向、あらゆる階層の人々から慕われ、白隠の旧跡である龍沢寺(静岡県三島市)や松蔭寺(沼津市)を復興させ、1936年には満洲の新京(長春)に妙心寺別院を創建した。しかし、社会に対する影響力が強ければ強いほど、その潮流に捲き込まれずにはいられなかった。二・二六事件の伏線となった事件に、前蔵相の井上準之助や、三井合名の理事長、団琢磨が暗殺された血盟団事件(1932年)があったが、主犯の井上日召(1866-1967)が、一時、その下で修行していた関係もあって、山本は裁判の証人として出廷しなくてはならなかった。また、陸軍内の皇道派将校であった相沢三郎が、統制派の永田鉄山少将を執務中に斬殺した相沢事件(1935年)でも、山本は証人台に立ったのである。

(略)

満洲事変以降の禅宗教団のあゆみは、ほとんどどのまま戦争協力の歴史であった。(略)禅宗宗の各教団は、仏教連合会(1941年に大日本仏教会に発展)や仏教護国団に参加し、1944年には、あらゆる宗教を一元化した大日本戦時宗教報国会に参加することになった。」(伊吹敦『禅の歴史』299~301頁)


 

 


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